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風景

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2年まえの今頃、ライヴのリハで経堂のスタジオにいた。
4月23日がライヴで、ミュージシャンの都合もあり一度だけのリハ。
実家の父の身体の容態が悪かったらしいけど、弟が僕に心配をかけまいと
内緒にしてくれていたようだ。
ライヴを無事終えると、色々な事実を伝えられた。
参っちゃったけど、命の期限も知った。

弟は機転を利かせ、父のふさがってしまった喉を大好きな酒が飲めるよう手術してもらい
飲酒、喫煙OKの病院に移してくれて、宴の準備を整えてくれた。笑
限られた時間をチューブだけで生きるより、人間らしく、飲んで食って笑ってほしかったからだよね。

僕は父とあまり仲が良くなく、飲むたび喧嘩ばかりだった。
どうしても甘えがあったんだね。

休みのたび、新幹線で仙台に向かいウイスキーをみやげに病室で飲んだ。
はじめて仲良く飲んだ。父の知らなかった面も知った。父の子供の頃の話も聞けた。

窓からみえる“水の森公園”(写真)を眺めながら飲む酒は
父の病気をしばし忘れさせてくれた。

ロビーにピアノがあったので、車椅子の父をそこまで押し僕は歌った。
他の患者さんも何人か集まってきてくれた。
看護士さんの中にはマザーメアリーの時(バンド時代)のファンの方もいてくれてたので、すんなり歌わせてもらえた。彼女の存在は又、東京にすぐ戻らなければならない身としてもかなり心強かった

亡くなったときは、葬儀屋さんのオマケで生前の写真を歌にのせて編集してくれるお得なメモリアル・サービスがあって“千の風になって”か“涙そうそう”から選ぶんだけど、弟が又、うまい事をやってくれた。
僕のCDを葬儀屋さんに渡し、僕の歌で作ってもらったのだ。

今も心の中で生きてる。ロビーで僕の歌を聴いてた父の顔。
棺おけの中の安らかな父の顔。
子供の頃、想像すると一番怖かった親の死。
なぜかわからないが、とても明るい印象で残ってくれている。

父の仲間。僕らの仲間。親戚皆で見送った。
古い写真と父の息子のうたで。
by kazuhiro-c | 2009-04-19 02:03

“日々是好日”


by kazuhiro-c